長い長い海岸線を
ひとりで走っていて
どうにも気になるお店があった
たこ焼きやかき氷の
よくあるスナックショップ
なぜか素通りできなかった
お店に入った僕は
店主のおじさんとおばさんを前に
黙ったままではいられずに
これまでの苦しかった
身の上話しをした
初対面のはずなのにおばさんは
親身になって聞いてくれ一方で
おじさんは寡黙に鉄板の前に
立っていた
僕はきっとここで洗いざらいの
清算をしにきたんだ
帰りにみんなで記念写真を撮った
絵面には
見るからに昭和のおじさんおばさんの姿が
より増長されていた
数年後
僕はその場所を訪れたが
お店は跡形もなく
ごく普通の
民家に変わっていた
おじさんおばさんここで
穏やかで楽しい余生を
送ってください
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