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どこの誰かもわからない あなた──
眼のぐあいはどうですか?
──とは言うものの 僕はなんの心配もしてません。
だって、僕のお母さんは
85歳にして週刊文春を裸眼で読んで
看護師を驚かせていた人です。
その週刊文春は棺に入れました。
大丈夫。
角膜が無いぐらいでは
あの母は字を読むのに困りませんよ。
とにかく、母の角膜をもらってくれて
ありがとうございました。
あなたは何をしていますか?
恋を探しにいきましたか?
本を読んでますか?
スマホばっかり見てるなんてことは、ないでしょうね?
旅行してみませんか?
美しい景色を
人々の暮らしを
見に行きませんか?
もしかすると、旅先で、
僕を見るかもしれませんね。
そのとき、ふいに涙が溢れると思います。
きっと、そうなります。
それくらいは、許してやってください。
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