桜の木の下であなたと交わしたたった一つの約束

辛い別れも桜が舞う頃だった
桜の花びら舞う中ふたりは
幸せな日々の最後の時を刻んだ…
あと二時間もしたら
あなたは飛行機で私の知らない街へ旅立つというのに
僕はまだそれを受け止められないまま
「また会えるかな?」
震える声で問いかけた
あなたは何も言わずに抱きしめてくれて…
そして泣きそうな私に言った
「必ず帰って来るから。信じて待ってて」
我慢の限界で涙がこぼれ落ちた
別れが余計悲しくなった…
大切な人との初めてお別れ
お別れの言葉は
「さよなら」
じゃなくて
‘ありがとう,
ふたりの別れにふさわしい言葉だと思ったから…

あの春からもう十年という月日を重ね
それでもまだあなたが愛しくてたまらない…
今でも暖かい風が吹くと
あの頃みたいに
あなたに包まれてるみたいで幸せな気持ちになれる…

そして季節は巡り、また春が来て
花びらが一枚一枚散っていく…
ちょっと切ないなぁ。
掌に落ちる花びら包んで
胸にあてて軽く目を閉じた。

まだ約束は果たされてないけど
あの時のあなたの言葉を信じています
いつまでもこの桜の木の下で
あなたを待っています。
あなただけを待ち続けています。


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