あぁ
なんだか瞼が重たいや
嫌なことがあった
辛いことがあった
そのたびに心は傷を負った

痛い

どうして誰も気づいてくれないの?
どうして置いて行くの?
どうしてそんな目で見るの?

あぁ
やっぱり瞼が重たいや
だんだん目が閉じてきた
もう前なんて見れないよ
もう前なんて見なくていいや
何があるのか分からないから
怖いから
だからもう何も見たくない
苦痛なんてもう
見たくない

そうやってふらつきながら
下を向いて歩いていた
そして転んだ

「痛い」

言うと同時に
一粒の涙がこぼれた

…あれ?

そういえば
まだこの気持ちを
口に出して言ってないや
大きく息を吸い込んで
もう一度
「痛い」
と言った
涙がこぼれた

あぁ
そうなんだよ
痛かったんだよ
心が

そして
今まで溜め込んでいた
気持ちを全てはきだした

「辛い」
「悲しい」
「寂しい」
「怖い」…

言った分だけ涙が溢れた
もう止まらない
気持ちの分だけ涙が溢れた
一体何処にこんなにも
溜め込んでいたのだろう
全てを流したら
今まで重かった瞼が軽くなった

もう大丈夫
全部はきだしたから
まぶたが軽いや

そして
目を上げた


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