ノートの1ページ

もし弟の運動会を見に行ってたら
君と会えていただろうか
いや、流石にないか
君、忙しいしね

塾の自習室に籠って
そんなことを考える私は
ただ場所を占領するだけの
迷惑な奴でしかない

ふぅ、溜め息ひとつついて
広げたテキストに目を移す
君のことなんか考える余裕なんて
今の私にはどこにもない

読んでも読んでも
意味の分からないテキスト
こんなんじゃ駄目だ、
そう思いながら手を動かす

間違えた言葉をノートに五回書いて
それから間違えた大問をもう一度
私のノートは赤と黒に染まった

何一つ、理解出来てない
何一つ、理解しようともしない
手を動かす間も
ほらまた別なこと考えてる

君に会いたい
その思いをどこかにやってしまおう

私の心は
このノートの1ページのよう

赤い文字を必死に黒く変えようとしているんだ

そうしたところで
もっと苦しくなるだけなのに。


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