山巓

ぼくは開いた 自分の額を
空のために 雲のために
骨髄を流れゆく水のために
そこを取り巻く空気のために
それを吸い かつ吐き出す
きみの口のために―

そしてぼくは山巓に向かって
歩き出した 
石の意志で
そう 石について考え 
石の内部に
追いつくために―

途中 清水を飲んだ
極上の味だった 
陽を受けて
バラ色に染まるその水は
ぼくの喉に虹を架けた

コテージで休む 
先に来ている
きみが料理を作っている 
ロープウェイで
やってきたのだ 
空が間近にあると知るまで 
そう時間はかからなかった


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