昇りゆく陽

振り返ると目が見た 大きな
目だった―泣かれたら堪らない
ぼくは逃げようとした それは
ぼくを或る草原まで連れていった

その草原には鹿が跳ねていた
緑のまだ浅い 小川の流れる(リュートのような
音を残して)並木道は真昼時だった
ぼくは根株の露わな側道で少し疲れて―

だあれもいなかった それが運命のように―
ぼくはアメリカン・マッチを根株でこすって
タバコに火を点けた うまかった

振り返ると目が見ていた 確かに
その目はぼくだけに焦点が当てられていた
脈打つ心臓にその目は気怠さをプリントした


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