【廃墟の春】


すべて燃えた
すべて消えた

深い悲しみから
生まれた「いのち」

ひとしずくの
露のなかに

ちいさな胞子が
つくられました

春がきました


・ 

誰もいない
誰も来ない

黄泉よみの国のような
静寂しじまの朝に

鳥が鳴いた
一羽だけで

たった一羽だけで
鳴いていただけ

春が来ました

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