1人で歩いてゆく

ある寒い冬の朝、僕を置いて
どこかへ出かけた君。

残されたメモ
『ありがとう、さようなら』

その言葉の意味がわからずに、
わかろうともせずに
君の帰りを待ち続けているよ

寒いのが嫌いな君
キンモクセイが好きな君
甘い香りのする君
不器用な君
そして
愛しい君

君はまだ帰ってこない

キンモクセイが咲く秋
僕は君の好きだった場所に
引き寄せられる
良い香りのするキンモクセイ
何かが足りない。

君はもう帰ってはこない

君が1人で歩けない道があるなら、
進めないでいるのなら、
いつでもかけつけるよ

僕はもう振り返らない
1人で歩いてゆく
僕は君の面影を胸に

・・キンモクセイの散る頃


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