飛べない鳥

夜は怖い。
その黒に呑み込まれて無くなってしまいそうで。
窓の向こうを眺めるだけ。

でもこんな日には夜が隣にいる。
黒に溶け込み、つらいことを忘れて。
私も黒になる。
夜になる。

夜に向かってまた一歩足を進める。
空を歩く。
飛べない鳥になって黒に近づく。
いづれ意識も黒になる。

飛べない鳥は地に墜ち、やっと飛び立てる。
次は青い空を飛べると信じて。

この世界はどこまでいっても黒ということを知らずに。


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