電話ボックスセレナーデ

学年末
僕は好きだった女の子の家に
電話ボックスから
電話をかけた
携帯電話のない時代
バクバクは
頂点に達した

僕はきみから既に
お断りを受けていた
でも僕は知っている
昼間の教室できみが
泣いていたことを
ここでひと声かけないと
僕は一生悔やむと思ったから

僕は一切
望みをぶつけない
無私の私
ありがとう 好きでいさせてくれて
これできみの気持ちが
少しでも軽くなるなら

話し終えると
上空はどっぷりと
星に覆われていた
ボックスの扉を閉めて
僕は未練のかけらも
断ち切った


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