鏡の国のおまじない

『鏡越しに好きな人と目が合うと恋がかなう』

小学生の時はやった、
ウソかホントなのかもわかんない
一瞬で消えたおまじない。

その時はばかばかしいと思ってた。

でも、

今は少しだけ信じてみたくなった。

信じてしまいそうだった。

だって、

髪を結びなおそうとして取り出した
小さな鏡に
君の姿が映ったから。

君はあたしには目もくれていなかったけど、

淡い期待を胸に
わざとゆっくり髪を直して
また鏡を見た。

やっぱりこっち見てない…

こっち見た。

思わず鏡をすぐにしまう。

目があった。
一瞬、一瞬過ぎて
何があったのかよくわからないけど

確かにあった。目が、

こんなことで喜んでいる自分が
妙に恥ずかしかった。

「ねぇ」

声に呼ばれ振り向くと

君が立っていた。

「次の授業何?」

「あ、えーと…、数学だよ」

「あ、やべ忘れた。ごめん、ありがと」

そのあと、友達に借りに行くのか君は教室から出て行った。

…鏡の国でまた会えたら、もう一回君と少しでも話せるかな。


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