螺旋迷宮

恋をしていないというのは、
なんともムナシイ気分だ。

少し前まであった小さな情熱が消え失せ、
かわりに大きな穴がぽっかりと空いてしまった。

その情熱が何処に行ってしまったのかは解らない。
どうして穴が開いてしまったのかも解らない。

けど 一つだけわかったことは、
前より 心が軽くなったということ。

今までの重みは、
小さいと思っていた情熱の重みだったらしい。

その情熱は、思っていたより大きくて、重かったのだ。

自分がそんな大層なものを持っていたとは知らずにいた。
だから、それを喪ったとき、
不意に心に空いた大きな穴に戸惑い、泣いたのだ。

そしてその穴は今も心に空いている。
それを埋める新しい情熱は、まだ生まれていない。

きっと今は、恋の仕方を忘れているだけ。
いつかまた、それは思い出せる。

今は、空いた穴を労わって、
毎日を過ごしていく。

そしてその中で、
好きで好きでたまらない人に出逢う。

そうしたらまた、情熱は産声を上げる。

それを繰り返して、
ヒトは自分の心の穴にぴったりとはまる情熱を探していくのだ。

永遠に続く螺旋。
永遠に続く葛藤。

恋とは、そういうものなのかもしれない。


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