考える女

久しぶりに美術館に行くと、
一枚の絵画が私に語りかけてきた。

「今日はなんだか眠たくて、嫌になってしまうわ。」

絵画の女性は霧の向こうで、
物思いにふけるようにこちらを見つめている。

答えはしなかった、それがあなたなのですよ、とは。
物思いにふける女性の名前は、考える女。
実にあなにふさわしい。

茶色の修道服を着る考える女は瞬き一つせず、
こちらを見つめていたが、さてお別れだ。

霧の向こうにいる女は、
今も何かしら考えているのだろう。

おそらくは世界について。


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