葉っぱの しげみのかげに
ひとりの かたつむりさんが住んでいました
かたつむりさんは雨がふると
すずしくて気持ちいいので よくお散歩にでかけました
葉っぱさんの緑の背中をいっぱい歩きまわって
知らないところもよく冒険しました
雨が上がってフト上を見ると 水色の空が広がっていました
(あのお空には何があるんだろう・・・)
かたつむりさんは今度はあの空のところに行ってみたいと思いました
でも当然 空に飛んでいくことはできません
「ねェ つばめさん ボクものせてって」
そういってみたときには スピードの速いつばめさんはもう
はるか彼方の空をスイスイ あっというまに見えなくなっていました
かたつむりさんはボーッと そっちのほうをみていました
そのとき どこからか きれいな透明な玉が
かたつむりさんのハナをかすめて ちかくの葉っぱの上にとまりました
「きみ だあれ?」 「あたしはシャボン玉 きみは空を飛んでみたいんでしょ
ならここから入ってごらん つれてってあげるよ」 「ほんと? やった!」
きれいな玉の1ヵ所がパァッとあいて 小さなドアがひらいたみたいになりました
かたつむりさんが中に入るとドアはそっとしまりました
「じゃいくよ」 ふぁっと玉が浮き 一瞬かたつむりさんはドッキリ
でもすぐになれて 高いところからのながめにウットリ
「すごい お空はこんなにステキなんだ!」
シャボン玉は風にのって どこまでも高く どこまでも遠く
目の前に大きな虹のリング まわりをいくつもの光でそめてゆく
気がつくと ほかにもたくさんのシャボン玉が虹色にかがやいてキラキラ
「シャボン玉さん あそこに大きな水たまりがある」
「あれは海 それはそれは大っきな水たまりよ」
「ふーん それじゃボクなんておぼれちゃうね あッ あっちのお空が火事だ!」
「あれは夕焼け 空っていろんな色を使いこなす絵描きさんみたいなんだ」
それからどのくらい時間がすぎたんだろう
「どう 楽しかった?」
「うん すごくオモシロかった!」
「じゃそろそろ帰ろうね」
シャボン玉はフワフワゆっくり 風にのってスーイスーイ
いつのまにか いつもの葉っぱさんの上
「はい とうちゃく」 「ありがとう シャボン玉さん」
「きみがのぞんだら また会えるかもしれないね」
そういうとシャボン玉はパッと消えてしまいました
「シャボン玉さん いつかまたお空へつれていってね!」
かたつむりさんは心から願いました
コメント