神様への電話番号

今日ケータイのディスプレイに
表示された電話番号は”誰も知らない”
どうやらおっちょこちょいな天使が間違えて
わたしのところに掛けてきたらしい

いまの時代は神様もケータイを使うんだね
電話のむこうで慌てる声に話してみる

おっちょこちょいな天使はたぶん
さして急ぎでもない用を
さもとんでもない事件のように
おおきな声で叫ぶお役目を持っている

いつもなら神様を四六時中
寝る間も惜しんで讃えているのだ
そんな天使がどうしたの?

おっちょこちょいな天使はきっと
役目なくにんげんと話すわけにはいかないから
電話をすぐに切ろうとするので

わたしはすこし意地悪して
わたしの番号と似た番号に
めちゃくちゃにかけてみようかと呟いてみる

それはだめ!
透き通った声がした
やっと応えてくれましたね?

あっ、とひとこと
わたしはくすり
電話越しでもおっちょこちょいな天使が
ふくれっ面しているのが目に浮かぶ

大して話したわけでもないけど
神様への電話番号へのヒントを
手に入れた気がしてわたしはすこしだけ満足

もう間違わないでねと声かけて
わたしは電話を切ることにした
神様はわたしたちをいまも見てるのだろう

ずっと後に
このことを思い出したとき
めちゃくちゃにかけた番号が
もしも”誰も知らない”番号だったなら

そのとき神様は
悪戯心を罰することなく
番号を変えずにいてくれるかな


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