漣越えて一雫

海の中へ涙を一雫垂らし
自分を探させない意地悪をする

沈んで行くうちにそれが
弾ける熱い命となるなら
回帰を繰り返す漣となり
躯を打ちつける雫となり
倒れた君の元に辿り着く

けれどその雫を掴ませない
だって意地悪だから
やがて目指すものは
君だけじゃないから

ただこれだけは言える
もし普く海を全て探し回る者がいたら
その愚かさは確実に自分を打ち砕くだろう

今は耳を打つ音が聞こえるだけ
そこに悲鳴が混じることもない


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