枯れたひまわり

ある日の夕方。

買い物帰りに、
公園で一人ブランコに乗る。

ブランコは遊んでくれてうれしいのか
キィキィと大きな笑い声をあげるように
音を鳴らした。

ふと、公園の花壇に植えられた枯れたひまわりが目に入った。

その姿はまるで、
夏の本当の終わりの姿に見えて、
少し切なくなった。

「あれ?」

聞きなれた声に思わずハッとする。

「ここにいたんだ!家にいないからびっくりしたよ~」

あたしを見て安心したようで顔をほころばせながら、
あなたはなぜか隣のブランコに乗った。

隣のブランコも大きな声で笑い始めた。

「暑かったでしょ、大丈夫?顔色少し暗いけど」

「大丈夫だけど…今日仕事早く終わったの?」

「うん」

よっぽど安心したのかニコニコしながらあたしに言う。

夕暮の赤い色がさらに赤くなり始め、
だんだん黒っぽい青が空を染め始めた。

蝉の声とあたしたちの声とブランコの笑う声しか
聞こえなくなった公園に
枯れたひまわり。

「…来年の夏も一緒に過ごそうね」

真っ赤になりながら言ったその言葉。
あの日以来の勇気。

「バカ」

その言葉にビックリしてあなたを見ると

「来年じゃなくてこの先ずっとのほうがよかった」

少しほっぺを膨らませて不機嫌そうに
でも少しうれしそうに言った。


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