朱色のランドセル

電車の中で
好きだった女の子を見かけた
目を閉じ両手を揃え
折り目正しく座る姿に
彼女が使っていたランドセルと同じ
朱色のコート

駅で降りた僕に
彼女は気づいた
ほんとは並んで歩きたい
だけど僕は違う方向に歩き出した
もう彼女はランドセルじゃない

さようなら
朱色の女の子
ずっと素敵な女性でいてほしい
あの頃の色
まだ褪せていない


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