疾風の音に
心奪われ
思わず 窓の外に
目を向けた
風に大きく揺れ
葉の裏側まで見せる
深緑の若葉たち
何一つ
混じり気のない
おろしたての絵の具のような
白い雲
一点の曇りもなく
どこまでも どこまでも
果てしなく広がる
蒼い空
そして
360°
どこからでも聞こえてくる
蝉の大合唱
それはまるで
あの夏の日
少年が見た風景と
全く同じものだった
もう…何十年も経ってしまった
色んなことを
経験した 知ってしまった
辛い思いもした
二度と戻らぬ日々に
涙し 後悔した…
しかし
この風景は
あの日と 何も変わらず
多くを語らず
堂々と
私の目の前に 広がっていた
「さあ、戻っておいで」
大自然の囁きに身を委ね
神様が
あの日の少年に戻ることを
許してくれた瞬間だった…
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