帆を張れる日まで

今日、あなたに見てもらいたかった汽車が運良く駅に停まってるのを見つけて、慌てて車から降りて撮りに走ったら、携帯を向けて撮る私を、3両編成の乗客に一斉に見られた。

恥ずかしさで一瞬ひるんだけど、あなたに送りたくて頑張って撮った私。

でも撮った写真は薄暗くてとてもあなたに送れるものじゃなかった。

せっかくあなたに喜んでもらえるチャンスだったのに…
がっかりしながらの帰り道、道路脇に一本のイチョウの木がそれはもうそこだけ別世界のように色付いていて、あなたに送りたくて車から降りて、携帯のカメラを向けて見たけど、あなたの住む街にあるキレイなイチョウの並木道を思い出してあなたに送れなかった。

機械で送る携帯には、想いをつめて送る特別枠のファイルなんてなくて、私の送る写真はどれも色褪せて見えて、あなたに送れなかったんだ。

そんな話をあなたにしたら、でもこっちには海はないよって言ったけど、あなたは、あなた自体が海のような人だもの。
心が広くて、大きくて穏やかな海。私はあなたという海の上で小さな船に乗って、オールを片手にぐるぐるまわってるだけ。

そう伝えたらあなたは笑ってたけど、でも本当だよ。
あなたは私をいつも待っててくれる。

帆もなくて、舵もなくて、いや、あってもきかなくて、時々自分で嵐も呼んで遭難しかけて一人ブクブクもがいてる私にあなたはいつも、言葉を、想いを、時間を、惜しまずに与えてくれながら、私が上手に漕げるようになるのをじっと待っててくれてる。

淋しさに負けそうになる私に、
「甘やかすのでなくどんな自分も許すことから始めて。この違いが分かったら、色んなものを乗り越えられるはず」

そう言ってくれたね。

私の街に海はあるけど、ただいつもいつも眺めてるだけだった。

でも今はあなたという海の上で揺られながら船を漕いでみる。

船を漕ぐのは私自身。

でも船は海があるから進んでいける。

きっとそのうち帆も張れるようになってちょうどいい風だって呼べるようになるはず。

帆を張るってね、勇気 、または 何かをやり遂げようとする強い心という意味もあるのです。

上手な写真は撮れなかったから、その代わりに今日はそんな私の想いをこの詩に託して、あなたに送ります。

いつもいつもありがとう。
大好きです。


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