夜の田んぼ

何か言うよりは
笑っていたほうがいいんだってさ
喜んだり、悲しんだり
何か言うより

田んぼのあぜ道に電灯がチラチラ光る
しばらくそこにきみの耳の面影があって
蛙の鳴き声に耳を澄ましていたよ

僕がなくした僕は飛ばない
飛ぼうとした顔のままで時間を止められたんだ

水晶の中に水晶があって
抜け出せない自分の中に小さな僕がいて
何か言おうかなと思ったけど
ためらったよ
相手は僕の昔の僕なのに、ためらった
おかしいかな


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