喪服の似合わない君へ

喪服の似合わない君へ

線香の灯が燃え尽きる前に
静かな部屋から抜け出して
君に会いに来たよ。

アルバムを見つめる君。
ページをめくる度に、
涙の雫は駆け足になっていく。
歴史をなぞる足跡みたいだ。

小さな幸せだけど分かち合ったね。
思い出の数だけ、二人で一緒に笑ったのに、
それと同じ数だけ、一人で泣かせてしまうんだね。

これはもう、
そこに居ないんだから、
いつまでも抜け殻を見てるのは止めてよ。

心もすぐ、
そっと消えるんだから、
これからも夢の中でさがすのは止めてよ。

悲しさまで分かち合おう、
なんて約束は、し損ねたんだから。


コメント

  1. ぽつ、
    窓硝子を隔てた向こう側、
    ぽつぽつ、ぽつ、って

    今日は空も泣きたい日みたい。

    まばたきをする度に、
    雨の雫は駆け足になっていく。
    階段をいそぐ足音みたい。

    転ぶから気をつけてって、言ってるのにね。