くらい空の春から、かがやく玉があらわれて
ベランダのぼくの顔のひだりに、ひかりをあびせる。
ずっと待ってたけど、おそかったね。
朝は夜がとおくて、夜は朝がとおい。
そして、今日も二枚の目玉やきと、トーストを頬につめこんで、またいつもどおり。
夢をみたんだ。
家には、二匹の白いねこと、五匹の、何色だったかな、いぬがいて
いっぱいたわむれたあとに、龍のように雲をつきぬける、ジェットコースターが迎えにきた。
落ちるまえに、いや、落ちているあいだだったっけ。手紙をもらったんだ。
誰からかは、わからない。
ぼくも、ぼくだったのかな、それすらも分からないけれど
手紙には、みぎしたの片隅にちいさな心臓が描かれていた。
文字は、たしかなかった。
雲のしたは、雨がふっていたみたいだ。石畳が、しっとりぬれていた。
ようやっと、家のドアを開いたら、ぼくの友だちが、我さきにと飛びついてくる。
あたたかい。
いぬのお腹をなでてたら、目がさめた。
カーテンのすきまから、春が流れていた。
いぬの乳首の、ころっとした感触が、まだ手にのこっている。
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