4月
部活に入った
私はまだ君を知らなかった
同じ部活の先輩だということも
もしかしたらわからなかったかもね
5月
運命の歯車が動き出した
私は君の存在を知った
君と同じ担当に移動して
その時はただのいい先輩だった
6月
心が揺れ出した
君は優しくて笑顔が素敵だった
考えてることも合うことが多かった
そして私は自分の感情に気が付いた
7月
感情を隠そうとした
周りに特に君には知られたら駄目だ
私は必死に気持ちを押し殺したのに
友達には普通にばれてしまった
8月
周りにいる人が減った
三年生の先輩たちは引退し
私と同じ担当の子も部を辞めた
私はその担当でたった一人の一年生になった
9月
君が病気になった
1週間ほど君は顔を見せなくて
会いたくて元気か知りたくて
ひたすら君が帰ってくるのを待っていた
10月
想いを伝えた
君はやんわり理由をつけて断って
それから私を避けるようになった
それでも私は想いを捨てられなかった
11月
少し距離が戻った
いつの間にかある程度普通に話せるようになって
それは気のせいだったかもしれないけれど
前よりも仲良くなっている気がした
12月
独りだった
君は部活をサボりもう一人は学校の仕事
一年生の私は独り寂しく練習していた
君と二人きりのことがたまにあったのが幸いだった
1月
二人きりだった
君がサボらない日はほとんどなかった
それなのに二人きりが多かった
少ない時間でも二人で話せることの幸せを噛み締めていた
2月
恥ずかしいことをした
バレンタインデーにチョコを渡し損ね
君の家に届けに行った
きっと多くの人に私の想いを知られてしまったと思う
3月
プレゼントをもらった
バレンタインデーのお返しと君は言い
お菓子とクリップを私にくれた
クリップは私の守護神として大切にした
4月
私は先輩になった
一年生が入ってきて
二人きりになる機会がうんと減った
全然嬉しくなんかなかった
5月
私の誕生日だった
祝ってくれないと思っていたら
おめでとうの一言が君から聞こえた
嬉しくて泣き出しそうになった
同じく5月
君の表情が変わった
なんだか君が辛そうに見えた
一年生から離れる大会練習の時間
その時だけ君の顔は輝いていた
6月
君の誕生日だった
プレゼントをちゃんと用意して
いざ渡したのは人がたくさん居るところ
君は受けとると慌てて逃げ出した
7月
君と私の日々は終わりを告げた
大会は予選で敗退
沈む私に君は優しい言葉を投げ掛けた
嬉しかったけれど来年なんかいらなかった
8月
告白できなかった
コンサートの後君と二人で大学のキャンパスのホールにいた
タイミングを伺っていたら遠くから邪魔が入って
君は私を置いていった
9月
学校が始まった
君の必ず通る階段の前で毎朝君を待った
ただひたすら会いたかった
会うためなら私は何でもした
10月
君が部活に来た
荷物を一部取って打ち上げの計画を立てて
そんな君の顔は少し楽しそうだった
荒れたままの君のロッカーはそのまま放置だ。
11月
君が演奏を見に来た
客席の遠くの方に見えた君
手を振りたかったけれどやめた
君に音が届くよう精一杯頑張った
12月
友達が君を呼んだ
打ち上げでデュエットしようか
君の提案に私はうなずいた
君を呼んだ友達への怒りは何処かに消えていた
1月
寂しさに慣れてきた
君がいないことがもはや当たり前
生物が環境に順応するように
私は寂しさに慣れていった
2月
少し心が揺れた
きっと友達が羨ましいだけだ
そう思って心の揺れには気付かない振りをした
だって私は先輩のことが好きなんだから
同じく2月
二度目のバレンタイン
流石に今年は諦めた
勉強の邪魔をしてはいけないと
私は君の家の前を通りすぎた
3月
二度目の告白
打ち上げで楽しんだあと
帰り道で君に想いを伝えた
君は一言ありがとうと言って走り去っていった
同じく3月
君が卒業した
泣かないつもりだったのに泣いてしまった
君は県内トップの高校に行く
きっともう会えないと思うと涙が溢れた
4月
最高学年になった
君のいない部活の味気なさ
改めて実感して虚しさが込み上げた
自分の惨めさに腹を立てていた
5月
もう君からの祝いはない
メールひとつ来なかった
きっと忙しいんだ
私は自分に言い聞かせてパソコンを閉じた
6月
それでも私は祝いの言葉を送った
返信は来なかった
別に来なくていいと思っていた
だってこの想いには見返りは要らないから
7月
君と久しぶりに話した
コンサート後学校に戻ると君がいた
みんなが帰っても私たちは話していた
僅かな時間だったけれど嬉しいことに変わりはなかった
同じく7月
メールが返ってこなかった
予選突破の報告メールを君に送った
友達にも君に送ってもらった
私の友達にだけ返信が返ってきた
8月
ぐらりと心が傾いた
何考えているんだ私と
自分のモヤモヤを押し殺してまで傾いた心を立て直した
昔と同じ感情には気付かなかったことにした
9月
私も受験生になった
酷になっていく塾の勉強
そんな中想うのは私の志望校にいる君の顔
君の隣に在りたいがために勉強を頑張るのは少し不謹慎な気もした
そして今、10月
君は今何をしているだろう
君は今何を思っているだろう
君と離れて久しいけれど
今もそしてこれからも
君への思いはきっと忘れない
コメント