ドロップと恋模様

一つ目の恋、
ただ甘い夢だけを見ていただけのイチゴ味。

二つ目の恋、
少し切なく後味が妙にきれいだったレモン味。

三つ目の恋は、
薬みたいな味で、ほろ苦く嫌いだったハッカ味。

四つ目は……

何が出るかなって思いつつ、
缶からドロップを出してみる。

オレンジ。

酸っぱくて、甘くて舐め終わった後
もっともっと欲しくなる。

これが今、一番大好きな人との恋の味。

振り返ると、

いろんな恋の味を食べてきた。

嫌いな味だったり、好きな味だったり。

辛かったり、たくさん泣いたり、

そんなことは、食べてみるまでわからない。

だから恋って楽しい。

何もわからないから楽しい。

最初から自分の思いどうりの恋なんてつまんない。

たくさん恋をして、自分自身も大きくなれた。

どんな恋も、

あたしにとっては大切な大切な思い出だ。

そんなことを思いながら、
今一番大好きな恋の味を食べながら、

「早く帰ってこないかな…」

オレンジ色の空の下、オレンジの恋の余韻に浸りながら

あなたの帰りを待った。