『好きです』
『大好きです』
『愛しています』
次から次へと
シャボン玉を飛ばす。
でもそれは脆く、淡く
消えてしまう。
たくさんたくさん
シャボン玉を飛ばしても
むなしく空に消え、
透き通った空に吸い込まれる。
『なんで今なら言えるのよ…』
また飛ばして、消える。
『また、いなくなっちゃうよ』
『それでいいの?』
『また泡になりたいの?』
『その人の幸せだけを願うの?』
『伝えないまま泡になるの?』
『どうしてどうして…』
『どうして逃げるのよ!!』
飛ばしても飛ばしても
消えるばかりのシャボン玉。
大きくしても、小さくしても
ゆっくり吹いても
早く吹いても
消えてしまう。
その言葉の儚さに
涙を浮かべ、
あなたの顔をうかぶ。
もう泡になんかなりたくない。
でも嫌われたくない。
その人の幸せなんて
願っても願いきれない。
心からの願いなんかじゃない。
自分から逃げたんだ。
伝えないまま泡になったんだ。
『もう、なりたくない』
もう一度シャボン玉を飛ばす。
『泡に…なりたくない』
『あなたを幸せにしたい』
『ほかの誰かじゃない
あたし自身で』
『世界に一人しかいないあたしで』
『あなたを幸せにしたいです』
とぎれとぎれの
ラブレターは空の澄み切った空気の中で、
淡くでも美しく
砕け散った。
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