アレックスへの鎮魂歌

一人の女を事故で失った。

目の前が血にまみれるほど、
アレックスは慟哭し、
大気は畏れるように鳴動した。
そして片目を失った。

アレックスは世界へ旅に出た。
もう女はいないというのに一人きりで。
彼には今などどうでも良かったのだ。
そして両目を失った。

アレックスは事故死した。
追いかけた幻影がそうさせたのか、
後追いだったかどうかは問題ではなく、
生きざまが問題だろう。

おお、アレックスよ、
女の幻影が全てだったのか?
それとも違う何かがあったのか?

アレックスはもういない。
誰にも看取られず孤独に生きたアレックスに、
鎮魂歌を捧げたい。


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