もしも明日が晴れたなら。~陶器の誰かさん~

もしも明日が晴れたなら。

『あんた、このコーヒーカップ
まだ持ってるの?かけてるじゃない。』
母の声が耳にしみた。
私はただ。目を瞑って首を振るだけ。
手にした陶器は確かに欠けている。
ここ何年かの間、ここにぴたりと収まる
かけらを探してみたけれど。
ひとつもなかったことが・・・・。
誰かさんに似ていて少しつらい。
母は私を見て悲しそうに顔を歪ませる。
でも・・・。ごめんね。
お母さんも、あの人もみんな好きなの。
欠けちゃいけないの。
私の心はひびが入った陶器みたいに。
不安定だから・・・・。
欠けちゃったら。
みんな崩れちゃうの。
お母さんもあの人もみんな大好きだから。

もしも明日が晴れたなら。
新しいカップを持って、
大好きな人に笑いかけよう。


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