【こんなに愛していた】


夕暮れになると道で
足を止めて

祈りを捧げるように
頭垂れた       コウベ

やすらいのなかはすべて
無色だった

謙虚な人の溜め息
あつめていた

いつでも「かたち」が
心を乱すらしい

語られぬ悲しみが
影のように寄り添う

瞼が重いだろう
その重さに逆らうな

しゃがんでしまえばいい
この場所で膝を抱いて

さあ


薄明の町を一人    ハクメイ
ゆるく歩き

優しい人の残り香
そっとなぞる

涙を流せるならば
終わるだろう

こんなに愛していたと
言えるだろう

いつでも「ながれ」が
心を変えるらしい

減らせない苦しみに
僕は慣れていくのか

目を閉じてもいいのなら
正直な子供になり

寝そべってしまいたい
この場所で泣きじゃって

そう

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コメント

  1. 原詩では、蒐(あつ)める、とか、紊(みだ)す、とか、漢検〇級だよ、みたいな漢字を使っていました。