『受験生』の君へ。

今日この日、私たちは本当の意味で『受験生』になったね。
部活に行く必要のなくなったこれから、
君と話すことも少なくなるのかもね。
君はそうでもないかもしれないけど
私は少し寂しいかな?

君とは他の友達と比べたら
あまり話さなかったよね。
たまに、どちらともなく話しかけて
二人でさほど盛り上がることもなく話してたよね。

君と話してたら、
なぜか自然と笑顔になれたんだ。
本当に、なぜかはわからないんだけど…
なんか、他の友達と話すよりも
安心できたような気がするんだ。

君と話せることが
いつの間にか楽しくなっててさ。
あ、前にもこんなことあったなって
思った頃にはもう遅かったんだ。

前っていつのことって?
…分かってるでしょ。

私があの先輩が好きだって気付いたあの頃のこと。

あ、今ちょっと怒ったでしょ。
先輩の代わりみたいに扱われてるって
ちょっとイラってきたでしょ。
あ、そうでもない?ごめんごめん。

…君は君。
先輩は先輩。
わかってるよ、ちゃんと。

…確かに最初は代わりとして扱ってたかもしれないよ。
…後ろ姿が似てる、とか
雰囲気が似てる、とか
それだけで君を『先輩代理』として扱ってたかもしれないけど。

…今は違うよ。
君は君だよ。
それ以外の何でもない。
…ちゃんと、わかってるよ?

…あ、そうそう
今まで君にも皆にも嘘をついてきたんだ。
…私、やっぱりあの先輩のこと、
もう好きじゃないかもしれないんだ。

確かに先輩がいないと寂しいって思うし
また会いたいなって思うよ?
けどね。
…最近、なんか違うなって思うようになってきたんだ。

今までの私は
あの先輩を好きだった頃の私は。

例えどれだけ離れていようとも
必ず掴んでみせる…
また君と同じ場所に…
そう思っていたのに。

今はね。
あの先輩がどこにいても
何をしていても
…私の隣にいてくれなくても

それでもいいって
どうでもいいって
どうせいてくれたって
何も変わらないって
そう思うようになってきたんだ。

これってやっぱり、
私があの先輩を好きじゃなくなった証拠なのかな?

…少し悲しくても
そうだと思えてしまったり
すんなりその事実を受け入れられちゃったり
だから、やっぱりそうなんだ、って
思わざるをえないよね。

…でね?
私が何を言いたいかって言うとね。

…私、やっぱりみんなの言う通り
君のことが好きなのかもしれないなって。

…ごめん、急にこんなこと言って…困るよね?
けどね、昔感じたあの感覚を
君と会う度にまた感じてるってことは
やっぱりそうなんじゃないかって思うんだ。

…忘れるための恋じゃない。
確かにもう前のことは忘れたいと思うけど
忘れることよりも、
今の君との時間を覚えておきたいから。

…返事は要らないよ。
そういう感情に今囚われちゃったら駄目って
私も分かってるからね。

じゃあなんで今言ったのか?
…なんとなく、だね。
…ごめんごめん。ふざけてる訳じゃないんだよ?

…自分の想いには、
忠実にしていたいからね。

…ごめん。
また迷惑かけたね。

…この事はもう聞かなかったことにして
月曜日、また会おうね。

…ばいばい。


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