今年の桜を見た
毎年桜を見ることが老人には
ひとつの里程標
春まで生きられたことを知る
死んだ親父がそうであった
桜はまだかとボケても呟いた
まだ二月の厳寒で大雪
吹雪きを桜が散っていると見たか
そんなときに入院して二週間
帰らぬ人になる
青森は深い雪
春にならないと納骨はできない
ようやく桜が満開の五月
長く仏壇に置いてあった親父の遺骨を
埋葬するときがきた
霊園の道は満開の桜のアーチ
車の中から花見
骨箱を抱いて
家族が声を揃えて
じいちゃん桜だよ 満開だよと
あれほど桜が見たがって亡くなった親父に
呼び掛ける
死んで花見
それもまたいいか
桜は咲いた

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