「ユリ、今日もお願い!」
「良いよ。用意して待っていて。
ちょっとしたら直ぐ行くから」
「ありがとう!」
マリはユリにいつものように
勉強の講師をお願いする。
るんるん気分でマリは
仲良しグループのクラスメイト達の輪に入る。
「さて!皆の衆。
ユリ先生に習うとするか!」
マリは楽しげに言う。
「楽しそうだね、マリ」
そう相槌するのは仲良しのキミ。
「勉強は嫌いだよ。
でも、ユリが分かりやすく教えてくれるから
頭の悪い私でも理解出来るし
楽しく勉強できるんだよね~。」
「何だそれ。ウケる~(笑)」
きゃははと笑うのはヨッシーと慎太郎。
マリとユリは中学3年生。
受験生である。
ユリは学校でも名の知れた真面目で優等生な女子であり、成績も優秀。
部活引退後はいっそう受験勉強に励むようになり
休み時間も惜しんで机にかじり付けだ。
そんな彼女だが
学校が終わると塾があるわけだが
こうして塾に行くまでの合間に
なぜか放課後
教室に残って
マリ達に勉強を教えているのだ。
と言うのも
マリとユリは保育園からの幼なじみであり
小学校も中学校も同じなのである。
つまり
友達であるマリから請われて
ユリは先生役を引き受けている。
と言うわけではなく
「勉強を教えてくれってうるさいから仕方なく」という理由で
ユリは放課後に講義をしている。
今日も1時間ほど放課後の勉強会をして
ユリは「塾が始まるから」と早々に下校した。
一方、マリは
今日の勉強はやり切ったと言う表情で
「やっと終わった~!」と叫ぶ。
「よし!これからみんなで
ファミレス行こう!」
マリはそう言って先導する。
「賛成!」
「行こう行こう!」
勉強会が終わった達成感で
場が盛り上がり
その勢いで
みんなでファミレスへと直行する。
「そう言えばさぁ、マリ」
「何?キミ」
「大谷さんとマリはどんな関係なの?」
唐突にキミから聞かれて
率直にマリは
「う~ん。友達!幼稚園からの付き合い」
と、答える。
「幼なじみか~。
そんな感じはした。
でも、そんなに仲よさそうに見えないよね。
幼なじみと言われると
そうなのかと納得かも」
「どういうこと~?」
「だって
普段そんなに楽しく会話している感じじゃないのに
何であそこまで勉強に付き合ってくれるのかなって」
「あぁ~
それはね~」
ユリとは小さい頃は今とは違って
結構仲良く話もしていたし遊びもした。
しかし
小学生のある時から一緒に遊ばなくなり
会話も必要最低限しかしなくなったのだ。
マリは
何が原因でそうなったのかは検討もつかなかったが
ユリから
「単純に、性格が合わないから」と言われて
その言葉の通り納得していた。
確かに二人は
性格が対照的だった。
真面目で大人しく内向的なユリに対し
マリは明るく社交的である。
物事を冷静に理論的に捉えるユリとは違い
マリは気分屋であまり深く考える性格ではない。
一人で自分の好きな課題や勉強に勤しむユリに対し
マリは友達と連んでおしゃべりをしたり
遊びに行くことが大好きである。
そんな感じであるから
マリは勉強が得意ではない。
それでも
成績は中の下である。
そこまで成績が取れている理由は
ユリがマリに勉強を教えているからである。
受験シーズンに入ってからは
受験勉強という名目で教室を借り
いっそう勉強会に熱を入れてくれている。
「何でそこまでしてくれるの?」
横から慎太郎が聞く。
「ユリが言うには
『幼なじみだから』だって。
普通に
友達だからで良いじゃんね~?」
「友達って認識じゃないってこと?
何それ~?」
「変なの(笑)」
わいわいと盛り上がりながら
マリ達グループは学校を出る。
そう。
ユリはおかしいのだ。
なぜか
私達が幼なじみであることは認めても
友達であるとは認識していないらしい。
実際
「私達友達だよね」と言った際に
「違うよ。ただの幼なじみだよ」と言われてマリはショックだった。
何でそんなことを言うのか
マリには分からなかったが
それでも
幼なじみという理由で
勉強を教えてくれるのはすごくありがたいし嬉しい。
マリにとって友達は
このグループのように
一緒にいて何となく楽しい仲間という存在である。
そうでなくても
マリは他の生徒とも割と仲良く付き合えている。
楽しく話が出来て
楽しく関われていたらみんな仲良し。
そういう感覚だった。
だから
ある意味では学校の生徒みんなが
マリにとっては友達かもしれない。
そう
マリには感じていた。
ユリとは
そこまで楽しい関係ではない。
それでも
ユリは嫌いではないし
普通なのだ。
だからこそ
友達に入るのではないかと
マリは勝手に思っている。
ーーーーーつづく
-
新連載です。
お読み下さりありがとうございます。

コメント
新連載ですね。
幼なじみと友達の違いを考えた事が無かったです。
これからの展開を楽しみにしています。
白い影法師さん
コメント下さりありがとうございます。
次の展開もお楽しみ下さいね(*^^*)