迷霧の連弾 216

理恵は懸命に

押し寄せる感情を

噛みつぶしていた

ボクは声をかけてあげることも

できないままに

立ち尽くしていた

理恵はようやく辛い過去を

反芻し始めた

その日以来

ワタシは彼女と登下校が

一緒になることはなかった

彼女はいつもより早く家を出て

ワタシの数百メートル先を

自転車で漕いでいた

そんな彼女には

ワタシが後方を

追いかけるように

自転車を漕いでいることが

分かっていた

だけど立ち止まって

ワタシを待つことはない

ワタシの存在は

気にもとめない態度をみせていた

学校でもワタシと

挨拶を交わすこともない

不意に目が合うと

あからさまに避けるように

目を背けていた

ワタシは自分の身に

起こっていることは

真っ向から受け止めた

でもそうされる理由は

どうしても分からなかった

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