【キミと“あれ”】

“あれ”は美味しいものだと思ってた

でも、実際食べてみるとそうではなくて

苦くて、ずっと口に苦味が残る味だった

「…思ってたの違った」

『…じゃあ、苦いって知ってたら食べなかった?』

「んーん、そんなことはないよ?だって…」

だって、

食べたらキミに近づけると思ったから

理由なんてないけど、

キミもあれを食べたから

そんな気がしたんだ

“あれ”を食べたときのことを

僕はよく思い出す

口の中に残ってる間は

頭ん中に色んなキミが溢れてきた

僕は正直、それが怖かった

でも、キミのことを知りたくて

全部知りたくて、全部受け止めたくて

…本当はね、わかってるだよ

僕はキミの全てを受け止められるほど強くないこととか

キミは拒否できないだけだってことも

本当は、僕に踏み込んできてほしくないことだって

それでも僕はわがままだから

………知りたいんだ


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