雨のあと

ひとつひとつと

こぼれ落ちる

記憶は
 
己の都合に合わせられ

人間の身勝手さは

時には人の心を

平穏にする

ひとつ足りないだけ

そこからふたりは止まったまま

ひとつ足せば

全く違っていたはずなのに

うそもまことも

なかったんだと

鈍いふりして

そっと笑う     

雫が垂れ

対の葉が揺れる

少しずつまた

動き始める


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